子どもは共感し、大人は憧れる絵本!【絵本考察】ふまんがあります

どうして、こどもだけはやくねなくちゃいけないの?

どうして、おとうとがわるいのに、

わたしばっかおこられるの?

おとなにちゃんともんくをいって、

ズルいのをやめてもらおう!

ふまんがあります

 

こんにちは! ぴえ郎です!

 

今回は、ヨシタケシンスケさんの『ふまんがあります』を紹介します。

この本は、子どもが日常生活で感じた大人へのふまんを素直に親にぶつけて解決しようとするストーリーになっています。

しかし、さすがヨシタケシンスケさんの絵本!

子どもはもちろん、大人が読んでも面白い!

なぜ、大人が読んでも面白いかと言うのを深堀考察していきます。

感情移入

この絵本は、読む人の立場によって感情移入する登場人物が大きく分かれます。

まず子どもが読んだ場合

もちろん子どもに感情移入し、「うちの親も同じだ!」

「聞いてみたかった!」

「大人はズルい!」

と、主張することでしょう。

大人が読んだ場合

子育て中の方や子育ての経験がない方でも、子どもにこんなこと言われたら、なんて答えたら正解なんだ?

と、ふと思うことがあるのではないでしょうか?

そんな疑問を面白く、そしてギリギリ切り抜けられる絶妙なラインで答えているお父さんに、こんなユーモアのある親になりたいと思うこと間違いなし!

そして思います。子どもが絵本の中のお父さんに感情移入する日はいつくるだろう?

では、大人が子どもに感情移入することはない?

いえいえ。大人も子どもの立場に立つこともあります。

本の中の子どもはなぜ親に不満があるかと言うと、「自分の行動と親の行動との間に大きなギャップが存在し、自分(子ども)が損をしている」と考えているからです。
つまり、自分の行動(考え)と相手の行動(考え)とに差があり、自分が損をしていると感じる。

思い当たることがあるのではないでしょうか?

人間関係でイライラするやつです(笑

 

このように、感情移入するキャラクターを変えることにより、

親は「質問をどうすり抜けようか」と考え、子どもは「質問でどう問い詰めようか」と考えるという全く違う視点をそれぞれに感情移入することにより知ることができます。

見本を見せる

絵本の中の子どもの不満の中で

「どうしてグリンピースを たべなきゃいけないの?
パパだって うめぼし たべられないくせに!」

というものがあります。

作中ではお父さんが華麗に返答しますが、あなたならどう返答しますか?

「パパは特別だからいいの!」

「ダメなものはダメ」

こんな返答しがちですが、『好き嫌いなく食べるルール』を定めたのなら親も子どもも関係なくルールに従うべきです。

親が作ったルールを親自身が守れない。

これでは、子どもに言う資格がなくなってしまいます。

親が率先して子どもの見本になることで、子どものふまんは大幅に減少します。

ただダメという教育

子どもが疑問を持つことはとても素晴らしいことです。

しかし、親からしたら子どもの「どうして?」「なぜ?」攻撃に毎回答えるのはしんどいので、ついつい「今忙しいから後で」や「ダメなものはダメ」と言って逃げてしまいがちです。

でもその行為は子どもの質問意欲を低下させ、親に質問をしても解決できないと諦めさせてしまいます。

そしてそんなことを言われた子どもは、

『後で』とは何の後でなのか、『ダメ』な理由は何なのか?

という疑問が増えてしまいます。(笑

しかし、本当に忙しい時もあります。
ダメ以外に言いようがない時もあります。

そんな時は、

『後で』とは何の後でなのか、『ダメ』な理由は何なのか?

この疑問を生み出さないよう具体的に説明してあげる必要があります。

 

そしてその後、話す時に大事なことは『しっかり子どもと向き合う』こと。

絵本の中でもお父さんはしっかり子どもと物理的にも精神的にも向き合って返答しています。

このように、お互いに向き合うことにより文字通り『話し合い』が成立します。

Q&AとQ&Q

子どもが質問して、親がしっかり答える。

子どもが質問して、親がしっかり答える。

 

このQ&Aができれば完璧!

 

・・・ではないんです。

 

もう一つ知っておいていただきたいのが、

Q&AとQ&Qです。

Q&Aは子どもがクエスチョンを出して、親がアンサーをしますが、こればかりだと『自分で考えて、答えを導き出す能力』が弱まってしまいます。

そこでQ&Qです。

子どもがクエスチョンを出して、親もクエスチョンを出す?質問を質問で返すな!子どもの質問に投げやりじゃないか!

と思われると思いますが、違います。

子どもの「なんで?」に、

「なんでだと思う?一緒に考えよう!と一緒に答えを探索します。

このときに子どもの導き出す答えが正解でも不正解でも関係ありません。

一つの答えを自分で導き出せたことをほめてあげましょう。

これで『子どもが自ら答えを導き出す力』も育つし、親子のコミュニケーションもとれる。

一石二鳥!

 

絵本『ふまんがあります』での

「どうしてグリンピースを たべなきゃいけないの?
パパだって うめぼし たべられないくせに!」

のお父さんの答えを紹介します。

「じゃあ、どうしてグリーンピースを たべなきゃいけないの?
パパだって うめぼし たべられないくせに!」

「もくせいの ごはんは、
ほとんどが グリーンピースらしいから、
れんしゅうしたほうが いいと おもうんだよ。

うちゅうりょこう、
いきたいでしょ?」

『ふまんがあります―ヨシタケシンスケ』 本文抜粋

・・・うん。

本当に大人ってズルい!

まとめ

どうだったでしょうか?

この『ふまんがあります』をとおして、

  • 子どもと大人の視点の違いを理解する
  • まず親が実践し、子どもに見本を見せる
  • ダメならダメな理由を提示する
  • 子どもと面と向かって話す大切さを知る
  • 自分で考える機会をあげる
という大切なことを考察することができました。

 

この絵本にはグリーンピースの疑問以外にも、よくある子どもからの疑問を面白おかしく解決しています。

そして、最後には・・・うん。

子どもってズルい!

 

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