どれだけ注意深く読んでも この真相は見抜けない
〈不思議の国〉の住人たちが殺されていく―。
『このミステリーがすごい!2014年版 国内編 第4位』
目次
あらすじ
大学院生・栗栖川亜理は、最近不思議の国に迷い込んだアリスの夢ばかり見ている。
ハンプティ・ダンプティの墜落死に遭遇する夢を見た後大学に行ってみると、
キャンパスの屋上から玉子という綽名の博士研究員が墜落死を遂げていた。
次に亜理が見た夢の中で、今度はグリフォンが生牡蠣を喉に詰まらせて窒息死すると、
現実でも牡蠣を食べた教授が急死する。夢の世界の死と現実の死は繋がっているらしい。
不思議の国では、三月兎と頭のおかしい帽子屋が犯人探しに乗り出していたが、
思わぬ展開からアリスは最重要容疑者にされてしまう。
もしアリスが死刑になったら、現実世界ではどうなってしまう?
彼女と同じ夢を見ているとわかった同学年の井森とともに、亜理は事件を調べ始めるが……。
邪悪で愉快な奇想が彩る、鬼才会心の本格ミステリ―。
ほのぼの推理小説風コースターどんでん返し系ミステリ
本屋で『どれだけ注意深く読んでも この真相は見抜けない』という帯を一目見て挑戦したくなり購入しました。
ページ数は、1ページ上下2段形式の254ページ。言い回し等とても読みやすかったです。
そして、、、
ズバリやられました!最終ミスリード…素晴らしかったです。
序盤では殺人は起こるものの登場人物の紹介エピソード的なほのぼのストーリーで進んでいきます。しかし、中盤からストーリーのスピードが上がり始めて、終盤に差し掛かった時にはスピード感のある本格ミステリに引き込まれていました。
不思議の国と鏡の国の世界観
本書では不思議の国のアリスと続編の鏡の国のアリスの世界感が表現されています。
「鏡の中のアリスなんて知らない!」
大丈夫です!私も不思議の国のアリスを何となくしか知りませんでしたがとても楽しめました。むしろ知らなかったからこそ騙されたミスリードもあったりして、、、
私のお気に入りの本文を抜粋しました。アリス殺し内の不思議の国のアリスの雰囲気を味わってください。
「もう我慢ならん!」帽子屋は三月兎に殴りかかった。
「ちょっと待った!!」三月兎は帽子屋を手で押しとどめた。「今日は特別な日だから許して」
「今日は何かの記念日だったかな?」
「俺の特別な日なんだ」「おまえの?」
「そう。今日は俺の非誕生日なんだよ」
「え?!そうだったのか?」帽子屋が嬉しそうに言った。「偶然のことだが、わたしも今日は非誕生日なんだよ」
「な、なんだって、そりゃあ、たまげたよ」
「信じてくれないかもしれないけど」ビルが言った。「僕も今日が非誕生日なんだ」
「これはまた、凄まじい偶然だ!!」頭のおかしい帽子屋は額を手で押さえた。『アリス殺しー小林泰三』本文抜粋
このように、二つの世界の登場キャラクターや雰囲気、会話の言い回しなどが好きな方はこの本は超おススメです!
まとめ
アリス殺しを読み終わって、不思議の国のアリスと鏡の中のアリスのストーリーが気になり、速攻読みました。
どちらも読んでみて思ったことは、知らなかったら知らないで純粋に楽しめます。
そして、知ってたら知ってたで世界観を十分味わえます。
ただ、帯の『どれだけ注意深く読んでも この真相は見抜けない』という言葉があったので警戒しすぎて気づいてしまったミスリードもありました。
さあ次はあなたの番です。
あなたは真相を見抜けますか?